平成27年12月議会一般質問(全文)

自由民主党の松尾和久でございます。
早いもので4年前に県政の場へ送り出していただいて、ことしで5年目を迎えました。4月に行われました県議会議員選挙において2期目の当選を果たさせていただき、引き続き精進を重ねながら多くの皆様からの負託に応えられるよう頑張ってまいりたいと存じます。
今回の選挙では、キャッチフレーズを「未来へつなぐ」といたしました。先人のたゆまない努力によって築いていただきましたこの豊かな日本を、愛媛を、次代へとしっかりとつないでいきたい。今を生きる私たちはその責任を負っていることを自覚し、その責任を果たしていく決意を持って諸課題に取り組んでいきたい、そのような思いからであります。
地域の活動、文化、農業、福祉、教育など、全ては過去からつながっております。地元のお祭り一つとっても、地域が元気であってこそ引き継いでいくことができていることを考えると、今、何をなすべきか、何をするかで未来が変わってくるのであります。そんな思いを持ちながら2期目初めての質問に入らせていただきます。理事者の皆様の前向きな御答弁をよろしくお願いいたします。
まず、松山空港国際線の中国路線の利用促進についてお伺いいたします。
松山空港の上海便は、平成16年7月に就航いたしました。近年では、国際情勢などの影響もあり、搭乗者数の減少などにより運航を休止する期間もあるなど、利用状況はなかなか上向いていないのが現状であります。
御案内のとおり、日本への海外からの観光客は平成25年に1,000万人を突破し、平成26年には1,341万人と増加しております。さらに、先日、11月18日に日本政府観光局から発表された数値によりますと、本年の訪日客数は10月までで1,631万人となっており、過去最高だった昨年を既に上回っております。
国、地域別では、台湾からが311万人で前年比30.8%の伸び率、韓国からが322万人で43.7%伸びております。伸び率が一番高い中国からは428万人で前年比112.9%の伸びとなっております。
私も東京へ出張するときなど、ホテルの予約がとりにくくなっていたり、雷門など観光地では、歩いていても、その言葉などで周りの観光客に外国人の方がかなり多いとすぐにわかるなど、訪日客の増加を肌で感じることができます。この日本への海外からの観光客が急激に増加している今こそ愛媛の魅力を発信し、インバウンドによる経済活性化に積極的に取り組むべきだと考えます。
そこで、近年の松山空港上海便の利用者数を見てみますと、平成25年度は8,471人で搭乗率が40.4%、平成26年度は8,892人で41.6%と伸び悩んでおります。一方、近県の高松空港では、平成23年7月に春秋航空のLCCが就航しましたが、以来、年々乗客数が伸びており、昨年度は4万3,724人の搭乗者数で搭乗率は58.1%と高い数字となっております。
これは、地理的な要因や、松山空港では週2便のところが高松空港では週4便であるなどの理由も考えられますが、週4便飛ばしても利用者が確保できているということも事実であります。
私の知人で中国への出張を頻繁にされる方の中には、松山空港から上海へ飛ぶよりも、高松空港や広島空港へ車で移動してでもLCCに搭乗する方が割安であるのでそうしていると言われる方が何人かおられます。
また、上海から松山空港へ到着された方から、中国語がわかる通訳の方がいなくて大変苦労したとの話も聞いております。通訳の配置は航空会社や空港ビルの管理会社の裁量かとは思いますが、利用者の利便性向上を図ることが利用促進、愛媛への旅行者数の増加につながるのではないかと考えます。
そこで、お伺いいたします。
現在行っている空港施設使用料の減免補助などの支援に加え、空港への通訳の配置など利用者の利便性向上のための補助事業を行ってはどうかと思いますが、御所見をお聞かせください。
また、現在就航している中国東方航空の安定運航に向けては補助金を出すなどの支援をしてきましたが、利用拡大が見込まれる国際線LCCの就航へ向けて取り組んでみてはどうかと考えますが、御所見をお聞かせください。
次に、総合観光プロモーションについてお伺いいたします。
近年、人口減少・少子高齢化が急速に進む中、観光は地域経済活性化の起爆剤として期待され、地方創生の取り組みの柱としても全国の自治体でさまざまな施策が展開されております。
そうした中、県におきましては、サイクリングの活用や広域観光イベントの開催等による観光振興に積極的に取り組んでいただいているところであり、ことし発表された平成26年の本県の観光客数は前年から118万7,000人増の2,646万8,000人となり、平成11年の瀬戸内しまなみ海道の開通時に次ぐ過去2番目の結果となるなど、その積極的な取り組みを大変心強く思っているところであります。
今後も、この勢いが持続されることを願っておりますが、昨年は瀬戸内海国立公園指定80周年、道後温泉本館改築120周年、四国霊場開創1200年という大きな節目が重なった年でもあり、ことし以降の反動減が懸念されるところでもあります。
また、他県におきましても、例えば、香川県の「うどん県」や高知県の「高知家」、広島県の「おしい!広島県」や大分県の「おんせん県」など、大規模な観光プロモーションが積極的に展開されており、観光に係る地域間競争はますます激しさを増しており、まさに観光PR合戦の様相を呈しております。
我が愛媛県には、他県に負けない風光明媚な瀬戸内海の島々や日本最古の温泉、道後温泉、南予の美しい海岸線、しまなみ海道のサイクリングなど多くの愛媛ならではの観光資源があり、他県に負けるわけにはいきません。
そのような中、先般、本県でも新たなキャッチコピー「アイチじゃないよ、エヒメだよ!」を用いた総合的な観光PRを展開する旨の発表がありました。このキャッチコピーは、県名に同じ愛の文字が入っているため、愛知県と間違えられた経験がある方も多いと思いますが、印象の弱い部分を逆手にとって話題性を高めようという取り組みであり、今後、このキャッチコピーを活用した観光PRを展開していくとのことであります。
また、今回作成した観光PRポスターは、知事の写真も大きく掲載するほか、本県が誇る観光資源や食をアピールした大変ユニークでインパクトのある内容となっており、今後、名古屋を中心とする中京圏や首都圏などでのイベント、PR活動の場面においてキャッチコピーとともに活用しながら本県の魅力を全国に発信し、観光客誘致などにつながることを大いに期待しております。
そこで、お伺いいたします。
今回の観光プロモーション事業の実施状況はどうであったのか、また、今後、どのように展開していかれるのかお答えください。
次に、農福連携及び農作物の自然栽培についてお伺いいたします。
農福連携は、農業と福祉が連携して障害者が農業の担い手となる取り組みで、近年、農林水産省、厚生労働省などが旗振り役となって進めています。この取り組みは、主に知的・精神障害者を対象に、高齢化、担い手不足が進む農業分野に就労し、六次産業化を進め、自立を促すのが狙いであります。
従業員数が50人以上の規模の民間企業で働く全国の障害者の割合は、平成26年6月時点で1.82%となっており、このうち農林漁業分野は2.15%と、全体平均を上回っております。特に、平成25年度までの5年間でハローワークを通じた農林漁業の職業への就職件数は265%増と、高い伸びを示しています。このことは、障害者の就労にとっても、また、農業の担い手不足解消にとっても大いなる可能性を秘めている取り組みであると考えられるのではないでしょうか。
私の地元、松山市において平成18年から障害を持って地域で生きる人や社会の中で働きにくい人たちの就労支援活動を行い、自然栽培による障害者就農の取り組みを続けている人がおられます。現在、25名の人員で11町もの耕作放棄地を再生した田畑でお米や野菜を栽培されています。
当初、農地の確保や障害を持つ人たちがどのように農業にかかわっていけるのかといった問題、農業技術の習得などに大変な苦労をされながら御自身も研さんを積まれ、現在では、自然栽培による農産物の生産に障害者の皆さんとともに成功されています。
ここで言う自然栽培とは、化学肥料を使わず、農薬を使わない、ここまでは有機栽培と一緒ですが、加えて、動物性有機肥料、堆肥も一切使わないといった栽培方法のことで、考え方としては、本来土が持っている力を生かし、肥料など余分な栄養分を与えずとも太陽、水、土の力だけで栽培するということです。
この方が運営している障害者の就労継続支援事業B型事業所では、お米を初め数多くの野菜を栽培しており、障害者の皆さんには月5万円近くの工賃が支払われていると聞いております。県内の障害者の平均月額工賃1万5,578円と比べると大きく開きがあります。
自然栽培のお話を聞いてみて大変驚いたのですが、例えばお米を例に挙げますと、1反でとれるお米の量は約7俵、卸値は1俵3万6,000円とのことです。恥ずかしながら私がつくっているお米は約3分の1の値段であります。
この方は農福連携の一例であり、そのほかにも、自然栽培に限らず農業分野での作業に取り組んでおられる施設もあると承知しています。
ある就労継続支援事業B型事業所では、減農薬栽培に取り組んでおられます。この施設では、利用者約30名のうち10名程度が農業班として農作業に取り組み、4反ほどの農地でお米と野菜を栽培しています。利用者の中で室内での細かい作業が苦手な人たちが、屋外で農作業に励んでいるそうです。適材適所でできることをやっていくという先ほどの施設と同じ考え方であります。農業班の皆さんは、室内での作業が苦手でも、外の作業を楽しそうにされているとのことでした。
フェスティバルなどで販売に行き、売り子として人と接し、自分たちがつくったものを買ってくれるときなど、喜びを感じ、生き生きとしていて、今は農業に携わることが生きがいになっていると聞きました。また、自分たちがつくった季節のものを施設内の他の利用者さんに提供して食してもらうことなども楽しみの一つになっているようです。
こうした農福連携について、厚生労働省でも来年度予算で農福連携による障害者の就農促進プロジェクトとして初めて概算要求をしたと聞いております。新規予算でもあり額はまだ少ないですけれども、障害者にとっての職域拡大や働くことでの収入拡大につなげたいとの願いがあります。
この事業は、障害者施設には農業に関するノウハウが乏しい等の課題があることから、農業の専門家の派遣や六次産業化の推進、農業や六次産業化に取り組む施設によるマルシェの開催費補助などが盛り込まれています。既に来年度のこの事業に対して厚生労働省の担当課に問い合わせが来始めていると聞いております。国も農福連携による障害者の就労拡大、収入拡大に動き始めた今こそ、先進的事例も地元にある本県としても積極的に取り組んでいただきたいと思います。
そこで、お伺いいたします。
県下の障害者就労施設数と、そのうち農業に取り組んでいる施設数をお答えください。また、福祉の観点から、今後、県として農福連携にどのように取り組んでいかれるのかお聞かせください。
先日の愛媛新聞の報道にもありましたとおり、11月27日に農林水産省から発表された2015年農林業センサス速報値によりますと、全国の農業就業人口は209万人で、10年前の前回調査に比べて51万6,000人減少したとのことであります。
県内でも農業就業人口は4万1,100人で、前回調査から1万1,700人減少しており、率にして22.1%の減少であります。就業年齢も67.8歳と、前回よりも0.9歳上昇しており、60歳以上が全体の8割を占め、高齢化になかなか歯どめがかかっておりません。
これまでも担い手の育成や鳥獣害対策、農地集積、トップセールスなど、さまざまな施策を打ち出し、農業の維持・発展に県として大変な御尽力をいただいていることは承知しております。今後とも、力強く推し進めていただきたいと期待するものでありますが、TPPの影響なども推測し切れず、なかなか未来の農業像が描き切れないのが現状であります。
そこで、将来への可能性の一つとして御紹介した自然栽培という農法についてお伺いいたします。
この自然栽培を障害者施設に限らず県下にその手法を広めることにより、農家所得の拡大につながる可能性があると考えます。また、肥料や農薬などを一切使用しないため、環境にも負荷がかからない農法として環境保全にも寄与できるものと思います。他県との農産物の差別化を図っていく上で、アレルギーのある子供たちが増加傾向にある今日、県として自然農法を研究してみてはいかがかと思いますが、御所見をお聞かせください。
次に、里親制度、特別養子縁組を含む児童福祉施策についてお伺いいたします。
里親制度は、家庭での養育が困難、または受けられなくなった子供たちに温かい愛情と正しい理解を持った家庭環境のもとでの養育を提供する制度です。家庭での生活を通じて、子供が成長する上で極めて重要な特定の大人との愛着関係の中で養育を行うことにより、子供の健全な育成を図る制度であります。
特別養子縁組とは、児童福祉のための養子縁組の制度で、さまざまな事情で育てられない子供が家庭で養育を受けられるようにすることを目的に設けられた制度であります。普通養子縁組の場合、戸籍上、養子は実親と養親の二組の親を持つことになりますが、特別養子縁組は、養親と養子の親子関係を重視するため養子は戸籍上養親の子となり、実親との親子関係がなくなる点で普通養子縁組とは異なります。
特別養子縁組の条件として、養子の年齢は6歳未満と制限されています。また、里親制度と養子縁組が混同されがちですが、里親は一時的に子供を預かる制度であり、里親と子供の戸籍上のつながりは発生しない点が養子縁組とは異なります。
近年、社会的養護を必要とする子供が増加傾向にあります。また、養護を必要とする理由は時代とともに変わってきており、例えば、児童養護施設に入所することとなった理由は、昭和50年ごろには保護者の死亡や行方不明、離婚などが約半数を占めていました。しかし、平成20年ごろには、保護者がいないという理由が大幅に減少する一方で、虐待を理由とする割合が約35%とふえてきております。現在の児童養護施設に入所している子供たちのうち、虐待を体験したことがある子供は50%を超えております。
こうしたことから、子供の意思に関係なく、親はいるけれども実親に育てられない子供たちがふえていることが推測されます。しかし、「すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない」と児童福祉法でもうたわれているように、私たちは罪のない子供たちに対して必要な手を差し伸べることが求められております。
そのような中、里親制度や特別養子縁組などの制度は有効な手段の一つであると考えられます。
特別養子縁組では、愛知方式と呼ばれ、出産前から相談に乗り、出産直後から養子縁組の前段階としての里親宅へ直接委託するといった愛知県における取り組みのように、先進的な取り組みをしている県もありますが、全国的にはなかなか制度の理解が進まず、広がっていないのが現状であります。
その理由はいろいろとありますが、一つには、児童相談所がその仕事量に対してマンパワーが足りていないとの指摘もあります。
県によっては、里親支援専門相談員という専門員を配置して取り組んでいるところもあり、里親等委託率は平成25年度末の全国平均は15.6%ですが、新潟県では44.7%と高く、また、福岡市では平成16年度末の6.9%から平成25年度末には31.9%へ増加させるなど、大幅に伸ばした自治体もあります。これらの自治体では体験発表会や広報、市民活動を通じた口コミなど、さまざまな努力をしたと聞いております。
そこで、お伺いいたします。
本県でも、子供たちの健やかな成長のために、家庭での養育が可能な限り受けられる環境を整える必要があると思いますが、里親の確保やマッチングなど、今後、どのように取り組んでいかれるのかお聞かせください。
最後に、愛媛の将来を担う人材の育成、特に、建設業関係の人材育成に向けた取り組みについてお伺いいたします。
国土交通省では、若年入職者が大きく減少している現状から、このままでは若手への技能継承がなされないまま技能労働者が減少し、将来の建設産業の継続が危惧されており、若者の入職動機の形成、入職促進を図っていくこととしています。
技能労働者の育成は一定の期間を要するものであり、ここで適切な対策を講じなければ、近い将来、災害対策やインフラの維持・更新にも支障を来すおそれがあります。
御承知のとおり、一口に建設業と言いましても、左官、とび工、型枠工や鉄筋工、電工、配管工など、実に多様な職種の方々により支えられています。国土交通省が11月25日に公表した建設労働需給調査では、今申し上げた全職種において不足傾向があり、特にとび工の不足が大きくなっています。また、どの建設会社も、有資格者の求人募集はしてもなかなか連絡がないなど、人材確保に大変苦労していると聞いております。
他の職種に転職されたり、事業者自体が技能労働者を育てる体力がなくなっていることなどの原因が考えられますが、技能労働者の確保が困難な現状でありますと、現場が当然忙しくなり、研修や講習に時間を割くことができないなど、悪循環に陥ることも想定されます。ゆえに技能労働者を育てる支援は急務だと考えます。
そこで、お伺いいたします。
県として建設業に携わる多様な専門職の人材育成にどのように取り組んでおられるのかお聞かせください。
以上で、2期目最初の質問を終わらせていただきます。
残された3年半も一生懸命務めてまいりますので、先輩の議員の皆様の御指導をいただきますようお願いして、質問を終わります。
ありがとうございました。